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2005年11月20日(日)
探査機「はやぶさ」の快挙
 小惑星「イトカワ」とランデブーをしている探査機「はやぶさ」が送ってくる画像は実に面白い。なにが面白いかって?
 探査機「はやぶさ」自身の姿が小惑星に映っている写真が送られてきた。これを見た瞬間、自分が「はやぶさ」に乗り込んで「イトカワ」の横にいるような擬似体感を味わった。まさに宇宙旅行をしている気分にさせてもらった。
 探査機「はやぶさ」は、虚無、虚空、漆黒の宇宙空間にゆっくりと回転しながら飛行している小惑星と並んで飛行しているわけである。3億キロメートルも離れた空間で、たった500メートル程度の岩の固まりと並んで飛んでいるのである。小惑星といっても、横浜ランドマークタワーの1.5倍程度の大きさしかない岩の固まりであるから、近くまで行っても引力で探査機を引っ張り寄せてくれるわけではない。まさに、探査機が自分の意志で近づいて行った飛行の成果である。
小惑星「イトカワ」のデータ
 長さ約540メートル、幅約270メートル、高さ約210メートルのジャガイモのような形状をしている。約12時間で自転しながら、地球の公転軌道の近傍を通る軌道を1.5年周期で公転している。
探査機「はやぶさ」のデータ
 2003年5月9日 M−Vロケット5号機によって打ち上げられ、小惑星「イトカワ」の一部を持ち帰ることを目指している。イオンエンジンで連続して加速し続ける巡航運転で飛行を続け、途中地球の引力を使った方向変換を行った。2005年9月12日にイトカワ到着し併走。2007年夏 帰還予定。
2005年08月16日(火)
日本自衛隊の能力
 ロシア海軍総司令部は「友好勲章」を米英海軍と日本海上自衛隊に授与するようロシア政府に上申しているそうだ。
 8月4日カムチャツカ半島沖で、ロシア太平洋艦隊の深海潜水艇が7名の乗員と共に200mの海底から浮上できなくなっていた。ロシア政府からの要請に応じて、日本、米国、英国が救出活動を開始していたところ、空輸された英国の無人潜水艇が絡まっていたワイヤーを切断し、ロシア潜水艇は自力で浮上・生還した。
 救援競争は英国が一番乗りを果たし、海上自衛隊艦艇4隻は途中で引き返すことになった。
 現場に最も近い国である日本ではなく、最も遠い国である英国が一番乗りをしたことを、不思議がったり、悔しがったりする向きもあるかもしれないが、日本の「自衛隊」の性格をよく表しているものと納得できる。地球上のあらゆる場所へ短時間に作戦行動を展開できる能力を持つか持たないかの政策の差が結果にあらわれている。
 人道的な救援活動に効果的な道具は、戦略的な軍事作戦にとっても強力な道具となる可能性を持っている。
 ルワンダ難民救援の時、陸上自衛隊に必要な機材の大半をロシアの大型輸送機アントノフがひとっ飛びで輸送したのに対して、航空自衛隊輸送機C-130は日本からケニヤまでの間を、途中3回ほど給油しながら飛行していたことを思い出した。
2005年06月11日(日)
20世紀の予言の的中率
 2004年度版科学技術白書では、1901年1月2日、3日に発行された「報知新聞」に掲載された「20世紀の予言」の的中率を17/23=約7割だとしている。
 予言の内容は、「無線電信・電話」「遠距離の写真」「人声10里に達す」「写真電話」など電気通信に関する期待、「7日間世界一周」「空中軍艦空中砲台」「鉄道の速力」「市街鉄道」「鉄道の連絡」「自動車の世」など交通輸送システムの発達への期待、「野獣の滅亡」「サハラ砂漠」「蚊・ノミの滅亡」「暑寒知らず」「人と獣との会話自在」「暴風を防ぐ」「医術の進歩」など自然の脅威の克服を期待するものが目立っている。
 このような科学技術への信奉は、19世紀という時代が、哲学と博物学から科学が明確な形で独立して発展したことを背景にしていると思われる。また、19世紀は万国博覧会が度々開催され、科学技術の発展を一般の人々も謳歌できる演出がされていた。特に、19世紀最後の年である1900年にパリで開催された万国博覧会では、会場内の全ての動力を電気が担うというように、「電気」への期待が強く喧伝されたようである。
 このような科学技術万能の精神的高揚は、自然や社会を征服することが容易いと人々に思いこませ、自然を改造する巨大プロジェクトの数々や帝国主義植民地拡張合戦による国際社会への挑戦も予感させるものがある。20世紀が「鉄と火」の世紀と言われる萌芽を見る思いである。
 その他、予言の面白いところでは、「買い物便法」でインターネットショッピングを思わせるビジネスモデルが想念され、「幼稚園の廃止」では、幼稚園の設置目的が、無教育な家族から子どもたちを引き離すことであったことをうかがわせるものなどがある。
2005年01月29日(土)
楽しみな宇宙空間の立体地図
 国立天文台が2月1日からインターネット上に公開する宇宙地図は全宇宙を網羅しているらしい。「四次元デジタル宇宙プロジェクト」と呼ばれるソフトで、時間と空間を飛び越え、宇宙空間の任意の地点に身を置いて周囲の様子を眺めることが出来るというものだ。宇宙船で銀河の間を旅行する気分を味わえるそうだ。
 「宇宙地図」というのに「四次元」と聞いて変だなと感じた。「地図」というものは空間を表現するものだからせいぜいXYZの3軸で構成される「三次元」で目一杯のはずなのに、時間軸を加えた「四次元」を表現するという。宇宙空間の任意の地点では、周囲の恒星までの距離に応じてその恒星の過去の位置からの光を見ていることになるので、時間を加味しない光景はあり得ない。つまり、「四次元」以外の星空は表現できないということだろう。
 子どもの頃に読んだ宇宙科学小説で、宇宙旅行が可能になったとしても、他の太陽系へ移住することを人類は考えないだろう、という記述があった。ハリウッド映画のように、光速を超える「ワープ」や「瞬間移動」技術が可能であるなら、既に人類は遙かに文明が発達した他の太陽系の文明に同化させられているはずであるが、そうなっていない。ということは「ワープ」も「瞬間移動」も全宇宙的に不可能であるということが証明されている。仮に光速の1/100の速度で宇宙旅行が出来るようになった場合でも、一世代のうちに他の太陽系に到達することは出来ないため、宇宙船内で世代交代を繰り返すという社会生活をしながら数千年をかけて旅行を続けることになる。しかしながら、地球ではその数千年のうちに科学技術が発達を続けていくため、千年後に光速の1/10の速度で航行できる宇宙船が完成され、後から地球を出発した人類が先に出発した宇宙船を追い抜いて行ってしまう事態になるかも知れない。こういう事態が容易に推定されるため、人類は他の太陽系に向かって宇宙旅行を始めることなど決してしないだろう、という主旨であった。
 いま、「四次元デジタル宇宙プロジェクト」で宇宙空間のあらゆる地点から星空を眺めることが出来るようになった人類は、ロマンに基づく宇宙旅行への関心を失うことになるのかも知れない。
2005年01月16日(日)
カラスの次はハト!その次は誰?
東京都のカラスが減ったかどうかの実感はないが、都は「カラスの減少に伴ってハトが増加し、健康被害も増えたのではないか」などと自画自賛ともとれるコメントを出している。
都は3年前からカラスの駆除を進めている。その効果がカラスを天敵とするハトの増加で顕れているというのだ。ハトが増えた結果、ハトのフンの粒子を吸い込んで発熱やせきなどの健康被害を訴える人が増えているらしい。都立病院のある医師は、ハトのフンに含まれるカビの一種が肺に入ることで、頭痛、発熱、記憶障害などを引き起こし、進行すると、肺炎などにかかって死に至る場合もあるという。しかし、個別の生物の悪い面を捜せば某かのマイナス面を見つけることが出来るだろうから、ハトだけが害を及ぼす生物であると強調することは不公平だろう。
人間による特定の生物種の生息数をコントロールする試みは、常になんらかの反作用を伴う。すぐに思いつくことは捕鯨禁止でイワシが減少したり、クジラ同士でも繁殖力の差でミンククジラが増えてシロナガスクジラが増えないといった現象だ。ある農業者は害虫だけを徹底的に駆除することをせず「害虫、益虫、タダの虫」の全てが生きている農地作りを提唱している。生物生息空間では生物扶養力の上限一杯で様々な生物が生きているため、いずれかの生物数を人為的に変更すれば、他の生物の数に影響が出るのであろう。
東京のように人工的な空間では、生き物にエサを与える行為が生物の数を大きく変動させることになるらしい。ハトの増加に対して、東京都は今月下旬から公園などでハトに餌をやらないように呼び掛けることを決めたそうだ。
生き物を可愛がりたいという衝動を餌をやりたいという衝動に結びつけないようにすることは、一部の人々にとっては大変な苦痛を伴うものだと想像することは簡単だ。神田川の遊歩道沿いでは、毎朝毎晩数カ所の餌場を設けて熱心に猫に餌を与えている人々がいる。ある時、ある餌やり人が他の餌やり人に対して、餌のやりすぎになるから餌やりをしないよう呼びかける張り紙があったりした。餌やり人たちの縄張り争いがあるようだ。
ロンドンのトラファルガー広場では2003年11月18日からハトのエサやりが条例で禁止されている。ハトは捕食能力が低い上、都市部のハトの給餌の90%が人為的なものだという説もあるため、餌やりを制限すれば容易にハトの数は減少すると見られている。カラスが減って、ハトが減れば、今度は誰が増えるのであろうか?
2004年10月09日(土)
異常気象もバーチャル化
今年はすでに8個の台風が上陸し過去最多を更新している。午前8時現在、台風22号は930ヘクトパスカルの勢力で、進行速度も55km/hと速いため、このまま進むと東海から関東に上陸し、東海以東に上陸した台風では最大の台風として記録されることになるだろう。
インターネットで全国の気象レーダーの最新データを自宅のパソコンでタダで見られる。10年ほど前では、業務上不可欠であったとしても千万円規模の投資を要する情報である。
刻々と変化する雨域をアニメーションのように動画で見ることもできる。まるで、日本新記録を待望してスポーツ観戦しているような心理になってしまう。
異常気象もバーチャル化の時代だ。
(追伸 10月10日追記)
台風22号は、9日午後4時頃、伊豆半島に上陸し、今年の台風上陸数を9個に伸ばした。上陸時の中心気圧は950ヘクトパスカルで、東日本に上陸した台風の中では、最も気圧が低かった。なお、気象庁の統計では、昭和33年に神奈川県鎌倉市に上陸した台風21、22号が955ヘクトパスカルで最低だった。
2004年08月13日(金)
用語「ジェンダーフリー」を教育現場から排除(東京都)
 東京都教育委員会が「ジェンダーフリーという用語を使用しないとことを決めた。ただし、社会的に形成された「ジェンダー」性別からの解放を目指すという考え方があることを否定しているものでないことは明らかだ。教育現場における理念先行の理想主義的な一部の教師たちによる偏狭な闘争家的行動を助長しているのではないかと気になっていた。社会から隔絶され、児童を相手に唯我独尊を糾されることなく先生と呼ばれ続ける職業に就くと、ヒトラー率いるナチ党の純血主義や秦の始皇帝の焚書坑儒と同様の精神状態に陥っていくのではないかと諦めていたが、今回の決定を見て教育委員会の良識も捨てたものではないと安堵した。
 ところで、とうとう真夏日の連続日数が39日になった。気象庁が大手町で観測を始めた1923年(大正12年)以降の最長記録(平成7年の37日)を塗り替えている。(15日に最高気温が30度を下回ったため連続真夏日記録は40日となった。)
 今朝は、お盆のためか、通勤電車はゆとりを持って着席できた。7人掛け長椅子には6人が本来の快適空間利用だと実感した。
2004年07月25日(日)
異常気象と言うべきか、超常現象と言うべきか・・・
 異常気象と言うべきか、超常現象と言うべきか・・・・
 局地的に極端な天然現象が頻発している。
 6月27日に佐賀市で竜巻が発生し、幅300m長さ8kmにわたって約330戸の民家に被害を及ぼした。
 その後、各地で狭い範囲に集中する豪雨が連続した。
 レーダー雨量計によって降雨が狭い範囲に長時間集中している様子を克明に見ることが出来るようになった。
 静岡市では、6月30日午前8時からの1時間で82mmもの集中豪雨が発生し、新幹線が運転を見合わせた。新潟県では、7月12日から14日にかけて24時間で450mmを越える雨量を記録し、信濃川に合流する刈谷田川や五十嵐川の堤防が決壊し甚大な浸水被害をもたらした。福井県嶺北では、7月18日0時から昼にかけて1時間に80mm以上の集中豪雨があり、足羽川の堤防が決壊し濁流が街を流れ下った。
 日本海側の豪雨と裏腹に関東地方では熱暑が続いている。
 甲府市で21日の最高気温が40.4度で全国観測史上2位の高温を記録した。東京では、20日最高気温39.5度で高温記録を更新したのに続き、21日未明の最低気温が30.1度と観測史上初めて30度を下回らなかった。
 我が家では、夏でもエアコンは3時間程度で切れるようタイマーをセットして就寝することにしていたが、今年はとうとう朝までつけっぱなしにしている。東京のヒートアイランド現象の片棒を担いでしまっていることを理性は指摘していても、体と情念はままならない。
 7月23日、九州電力では一日当たりの消費電力量が過去最高の314,766,000KW時となった。暑い日が続いた後は節電意識などの心の歯止めがはずれてしまって、さらにエアコン運転が増えることになるのだろう。東京電力では、供給能力は6760万KWあり、1割程度の余裕があると言っている。2003年8月14日のニューヨーク大停電のような事態にならないよう祈るのみである。
2004年06月21日(月)
2足歩行ロボットが12万円で手に入ります!
 1996年にホンダが世界初の人間型自律2足歩行ロボットP2を発表して以降、ソニー、川田工業、富士通などが次々と2足歩行ロボットを発表してきたが、とうとう、2足歩行ロボットが手の届きそうな値段で組み立てキットになって販売された。近藤科学(株)が126,000円で発売した。ロボットの名称は「KHR-1」で、身長34cm、重さ約1.2kg、関節の数は17個ということである。
 一歩ごとに正確な安定を追求するプログラムでは連続的な2足歩行を実現できなかったが、歩行途中の一歩ごとは安定していないことを前提とするプログラムに発想を転換することによって、壁を乗り越えたと聞いたことがある。
 今回の「KHR-1」はセンサーやジャイロ類は一つも搭載していないとのことなので、2足歩行制御プログラムによるのではなく、新しく開発された強力なサーボモーターの能力に依存する新たなアルゴリズムに基づくもののようだ。
 うつ伏せから起きあがる、仰向けから起きあがる、片足で立って屈伸する、バック転のような動作をするほかに、なんと側転をしたり、コサックダンスもできる。「教示機能」と呼ばれるモーション入力によってパソコンに動作を教え込めるので様々な動きが可能である。
 いかつい外観とは異なり、側転する動きには愛嬌がある。こんなオモチャが欲しかった。でも、もう少し安くなってくれないものでしょうかね。
2004年06月14日(月)
土星無人探査機「カッシーニ」がんばれ!
 米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同で打ち上げた土星の無人探査機「カッシーニ」が土星の最も外側を回る衛星フェーベに約2000kmまで接近して撮影した写真を公表した。
 高校生の時(1977年)、直径22km程度の火星の衛星フォボスの写真が公表されたときには、そのジャガイモのような形に驚き、星の王子様もフォボスの上では立てないのではないかと空想したものだ。
 今回は、直径220kmのフェーベ表面の直径50kmのクレーターに驚いた。クレーターが他の天体の衝突によって出来るものなら、よくも、衝突によって衛星そのものが破壊され飛散してしまわなかったものだ。たった、220km程度の天体の引力はそんなに大きくないだろうから、他の天体が引き寄せられて衝突したというよりも、すごい密度で小天体が存在する空間をひしめき合って飛行した時期があったのだろう。
 「カッシーニ」は7年をかけて、金星で2度、地球と木星でそれぞれ1度の「スゥイングバイ」を利用した加速と軌道修正を行い、220kmの天体に2000kmまで接近したのだ。大リーグボールを駆使した星飛雄馬のように針の穴を通すコントロール、いや、それ以上のコントロールが求められる飛行だろう。
 7年もかけて行くのだから、研究者にとっては一世一代の大仕事である。ケチなこと言って成果が得られなければ、人生やりなおしはきかないのだ。総額34億ドルを投入し、太陽電池なんかに頼らず、確実なプルトニウムを燃料とする発電機を3つも持たせ、探査機の全体重量は5.7tonを超え、30人乗りのスクールバス程度の大きさになった。
 「カッシーニ」は、この後、土星の周回軌道に乗る前に、土星のリングのうち「F」と「G」と呼ばれる二つのリングの間を抜けて行くのだそうだ。旅の最後にそんな芸当を予定するなんて、NASAの研究者には大胆さと繊細さとが渾然一体となっているようだ。
 リングの隙間を通過する時には、さらにワクワクする映像がどんどん公表され、素人たちを楽しませてくれることを期待している。
2004年05月16日(日)
数千ヘクタールの海底で「磯焼け」が拡大
 水産庁によると、コンブやホンダワラ、カジメといった藻類が消失する「磯焼け」が全国に広がっているようだ。
 普通の生活をしている人間にとって、海の中で起こっている状況の変化を知ることはほとんど不可能だ。
 海の中の出来事は、海からの恵みで生計を立てているいわゆる漁業関係者あるいは海中で遊ぶダイバー達のみしか知り得ないことだ。
 今年3月19日早朝、直径30mの小惑星が地球に4万キロメートルまで近づくニアミスが起こっていたという報道もあった。
 宇宙のこと、海中のこと、大陸の奥部のことなど詳しく分かるようになってきたため、従来なら見過ごしてきた現象に対しても、心を致してなんらかの対策を取ろうと、様々な人々の努力を誘うことになる。
 もしかしたら、大きな自然から見ればチョットした脈動の一つかも知れない現象によっても、人間は翻弄される運命なのかも知れない。
 自然の変化を見る場合、漁獲量の多寡あるいは観光ダイバーや遊漁釣り人たちにとって好ましいかどうかなど、経済活動(漁業、観光業)にとって有益かどうかだけで判断しないよう留意する必要があるような気がする。
2004年05月05日(水)
南極昭和基地がゴミの山!?
 環境省の調査で明らかになったのは、南極の昭和基地周辺には、建築資材や機器の残骸が山積みされ、分解されないままのトイレットペーパーなどが海岸に漂着しているというものだ。
 アムンゼンやスコットなどが極点への一番乗りを目指した頃の一発屋的な冒険時代ではいざ知らず、「平和目的の科学活動」に限り南極大陸内での自由な活動を保障する南極条約(1959年12月締結)に基づく科学活動の時代の行為である。
 1991年に南極条約協議国会議で「環境保護に関する南極条約議定書」が採択され、1997年5月28日「南極地域の環境の保護に関する法律」が公布されてから後、日本の南極観測隊は毎回200トン近い量の廃棄物を観測船に積んで日本に持ち帰っているそうだ。
 しかし、環境保全に対する高いモラルの先導者としての役割を期待されていた科学者達といえども、条約や法律での義務づけがない状況においては、処女地南極の環境を汚染し続けてきたという現実に唖然・呆然とする。
 チョモランマ(エベレスト山)が登山家の置き土産で汚染されているという状況が報道された時には唖然・呆然とはしなかったが、科学者や政府が関与する南極観測活動にはそんなことは起こらないと思っていた。
 今からでも浄化に取り組むべきである。
2004年04月30日(金)
生物棲息数の人為的コントロールへの取り組み
 宮城県では、外来生物の代名詞になったブラック・バスを効率的に駆除する方法を県水産試験場が開発し、ボランティア団体「バス・バスターズ」が伊豆沼でバス駆除に取り組んでいるそうだ。人工産卵床を提供して親魚共々一網打尽にできるというスグレモノ。
 富山県では、放流する稚アユが食べられてしまうのを防ぐためカワウの捕獲を許可していたが、いったん捕獲を中止するよう要請したそうだ。カワウ捕獲は、庄川沿岸漁業協同組合連合会の要望を受けた新湊市と大島町、高岡市から依頼された有害鳥獣捕獲隊が4月19日から2ヶ月の予定で実施していた。富山県鳥類生態研究会によると猟銃を使ったカワウの捕獲活動のため「(準絶滅危惧種を含む)サギ類の数が激減し、放棄される巣がみられる」そうだ。
 オーストラリアのカンガルー島では、コアラが増えすぎて島の生態系を壊しかねない事態に対し、環境保護に熱心な政党が「コアラを最低2万匹駆除すべきだ」と州政府に駆除を促した。人道的なライフル銃を使った「間引き」が検討され始める気配のようだ。
 どれも「理想の環境」に向けた真摯な取り組みである。
 人間の心ない無知な行動を契機として大繁殖する生物がいる一方で、経済的利益をもたらす生物の棲息状況を一定に保とうとする人間活動がある。
 生態系を維持したいという(ヒトの)理念と、生態系は絶えず変遷して来たという(自然の)摂理。人間の営みも自然の摂理の一要素。
 出来るだけ謙虚に自然に向き合っていたいものだ。
2004年04月18日(日)
イラクの日本人拘束事件
 4月8日夕刻、イラクの武装グループが自衛隊のイラクからの撤退を要求するメッセージとともに、3人の日本人を拘束している様子をアルジャジーラテレビが放映した。
 15日夕刻、イラク・イスラム聖職者協会アブドルサラム・クベイシ師(スンニ派)の仲介で、3人は拘束からちょうど一週間目に解放された。
 記者会見での家族のメッセージは最終的には嘆願、哀願を基調とするものとなっていった。
 自由に行動する日本人として、崇高な人道的活動を実践しようとしてイラク入りしたであろう3人の家族からのメッセージとしては、いささか違和感を禁じ得なかった。外務省職員を一方的に指弾する家族の姿によって、違和感が増幅されることもあった。
 家族や日本政府は、武装グループを含む世界に対して、崇高な人道的行動者である3人の命を交渉の道具として弄ぶことの、非人道性を訴えるべきであったと思う。
 武装グループに対しては、同じイスラム・スンニ派の人々やイラク国民、ましてや全世界の人々からの同情や愛情に基づく支持を失うことになるとの強いメッセージを投げ、拘束されている3人に対しては、自らの存在に自信を持ち、決して挫けることなく毅然と振る舞うよう励ますメッセージを投げるべきだったと思う。
 今回の3人の場合には、日本人の個人レベルの国際貢献の裾の広さをアピールでき、犯人グループの非人道性を糾弾する絶好の強みがあったのに残念である。
2004年04月04日(日)
大型自動回転ドアは不快な施設!
 3月26日「六本木ヒルズ森タワー」の自動回転ドアに頭を挟まれて男児が死亡した。
 いわゆる自動ドアと呼ばれる施設としては、回転ドア式よりもスライドドア式のものが一般的であり、全国で約160万ヶ所(1998年国民生活センター資料)に設置されている。
 スライドドア式の自動ドアでも、挟まれたりぶつかったりする事故は頻繁に起こっているが、ドアを開閉するという日常的な事象の中で起こる”お馴染みの”事故である。それに対して、今回の事故は”挟まれる”という事象は同じであるが、人々が普段から抱いている自動回転ドアに対する不快感・違和感を顕在化させているように思える。
 自動回転ドアの採用者は、大型ビル内の空気調節の最適化、大型施設内への入場者数のコントロール、あるいは、大衆の視線を入り口に誘導する効果などを企図しているのだろう。コスト優先と大衆を管理するという視点のみで、利用者の感性が欠けている
 西部劇やマンハッタンの摩天楼の白黒映像にあらわれる手動の回転ドアには人間的な郷愁すら感じる。
 しかし、現代の大型自動回転ドアは、呑み込んだ人間を後ろから追い立て、狭い空間でじわじわと行進させるのである。機械に追い立てられ、立ち止まることが許されない利用者にとっては不愉快きわまりない。チャールズ・チャップリンの映画「モダン・タイムス」を彷彿とさせる。
 国土交通省の調査(1日公表)によると、自動回転ドア(直径3m以上)は全国295施設に計459台設置されており、病院・養護施設が約100施設で全体の約34%を占めているそうだ。ハンディキャッパーにとって自動回転ドアは優しいのだろうか
 今回の事故を受けて、事故原因を究明する努力が続けられているが、センサーや安全基準が整備されたとしても、そもそも回転ドアを大型化し動力で動かすという非人間的なシステム再考して欲しいものである。
 空調目的や入場数制限目的なら、エアロックのように小部屋を設けて前後にスライドドア式の自動ドアを設置し、前後のドアを同時には開けない工夫をすれば良い。少なくとも利用者は機械に追いたてられることはなくなるであろう。

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