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スイス連邦 Swiss Confederation |
2004年11月記 |
■1988年6月スイスのジュネーブに立ち寄りました。ヨーロッパ大陸の真ん中に位置して地政学的に複雑な歴史を重ねて成熟してきた人間社会というものは、かくも上品で落ち着いた都市の姿になるのかと感心させられました。 |
■ジュネーブと言えばレマン湖の噴水が頭に浮かびます。レマン湖畔はゆったりとした芝生と花壇とベンチが印象的でした。 |
■ゆったりとした気分で歩いていると、小さなものが動く気配がありました。リスが松ぼっくりに何かをしていました。木の実を手の平に乗せてじっとしていると、手の平から直接リスがエサを受け取りました。リスの嫌がることする者が居ないので人間を恐れないのかも知れません。時計博物館、七宝博物館、自然史博物館、美術史博物館など、色んな博物館を見て回りましたが、どこも入場無料だったのには驚きました。 |
■サンピエール寺院の鐘楼からの眺め。ほとんどの建物が同じような形と色の材質で出来ているようで、調和が取れていると言うべきなのでしょうね。 |
■建物や景色ばかりを見て歩く旅行では、子どもには退屈なことばかりだったようです。サンピエール寺院近くの小さな広場に、小さなメリーゴーランドがありました。さっそく、子どもはメリーゴーランドに乗り込んで降りてこなくなりました。メリーゴーランドの回りには小さな椅子が置いてあり、親は子どもが飽きるまでゆっくり休息タイムとなりました。 |
■スイスという国のイメージ■ スイスは「永世中立国」という国際社会の中で特殊な地位を持つ国。直接民主制や国民皆兵制(今は徴兵制)といった制度に象徴されるような、政治と国防と国民が乖離せず、国民一人一人の高いモラルによって国家が支えられている国。世界で最も守秘義務を貫き通すと考えられている銀行による財産保全は、このような国際社会での特殊な地位と個人の高いモラルに基づいて成立するものなのかも知れません。 国際連合のヨーロッパ本部、国連難民高等弁務官事務所ジュネーブ本部、15人の委員全てがスイス人の赤十字国際委員会など、国際的に重要な役割を演じ続けるスイスですが、意外なことに、国民投票で国際連合への加盟を承認したのは21世紀になってからということでした。「和して同せず」という永世中立の理念が国民一人一人の血肉となっている事実を表象するものと言えるでしょう。 今回のジュネーブ散策で強く心に残ったエピソードが二つあります。一つは、バス停の自動販売機の前で使い方を解読しようとしていた時のことである。ちょうど来たバスに乗るため急いでコインを投入してバスに走り込んだ人がいた。バスが去って、自動販売機を見るとチケットが置き去りになっていた。私たちは、その1枚をありがたく頂いて次のバスに乗ったところ、目的地に着いても誰からもチケットをチェックされることがなかった。スイス国民はバスに乗り込むときには必ず料金を払っているという信頼を裏切らないということなのでしょう。 二つ目のエピソードは、レマン湖畔を散策中に横断歩道の手前で立ち止まってきょろきょろしていた時のことである。歩道側には私たち以外には誰も歩行者はいなかった。信号が無いにもかかわらず、横断歩道の手前に車が次々に停車して延々と長い列になってしまった。私たちが横断しようとしているように見えたため停車してくれていたのである。列になった車たちは、文句を言わずに静かに待ってくれているのであった。歩行者を優先している前方車両の判断を、後方車両の運転手たちが信頼している姿だと感じた次第でした。私たちは慌てて会釈しながら渡ったことは言うまでもありません。 |
■スイス概要 | |
面積 人口 首都 人種 言語 宗教 |
4.1万km2(九州よりやや小さい) 736万人 ベルン(人口約12.3万人) 主としてゲルマン民族(外国人約147万人) 独語(63.7%)、仏語(19.2%)、伊語(7.6%)、レート・ロマンシュ語(0.6%)、その他(8.9%) カトリック41%、プロテスタント35% |
■スイス略史 | |
1815年 1845年 1973年 1986年 1992年 2002年 |
欧州5大国はウィーン会議でスイスの中立を承認。 連邦憲法制定(1999年4月に現憲法に改正)。連邦内閣樹立 ECと自由貿易協定締結。 3月 国連加盟、国民投票で否決。 5月 EC加盟申請提出 12月 国民投票でEEA協定批准を否決。 9月 国連加盟 |
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