1回目 左肺手術1998年1月 2回目 右肺手術2003年12月 |
若くて背が高く痩せた人が患うという「気胸」に、48才でなりました。 しかも、2度目、ご丁寧にも、左肺に続いて右肺が破けちゃいました (;_;) 前回は5年前、43歳の時に左肺が気胸と診断され、あれよあれよと言うまもなく、胸腔鏡下ブラ切除術を受け、再発するなどということは微塵も考えずに過ごしてきました。 退院後、インターネットで「気胸」を検索したらたくさんの経験談が載っていたので、私も記録しておくことにしました。 |
発病から治療終了まで 2003年11月21日(金)〜 | |
11月21日(金) 発病 |
夜、友人2人と楽しく日本酒を冷やで飲んだ帰り、かなり酔っぱらいながらも、妻に胸が痛いとメールした。夜中、布団の中で姿勢を色々変えてみるが、痛みと咳で眠れない。 |
11月22日(土) 入院 |
診療科に呼吸器科があることを確認して、「TK病院」救急窓口にタクシーで駆け込む。 日直の内科の医師が胸部X線写真を見て「完全に右肺が潰れています」と言って、入院の手配をしてくれる。 内科病棟の6人部屋に入院。 病室のベッドにて、外科医2名でトロッカー挿入術を行い、ドレーンを残置される。 ドレーンは機械吸引せず、自然吸引とのことである。 |
11月23日(日) | 職場同僚に電話で状況説明。 |
11月24日(月) | 三連休の三日目、何もすることがない。 |
11月25日(火) | 手術をする場合、早くて来週火曜日になるとのこと。 胸部X線写真では、心臓が普通よりも左に寄っているので、あと五時間、ドレーンを入れるのが遅ければ、「緊張性気胸」になり、大変なことになっていたとの説明を受ける。 |
11月26日(水) | |
11月27日(木) | 「ブラ」がどこにあるかを確認するため、CT検査を行う。 全身麻酔に支障があるかどうかを確認するため、心電図を取る。 肺のどこが破けているかを確認するため、胸腔造影を行う。 |
11月28日(金) | 内科病棟から外科病棟に移動。 全身麻酔に支障があるかどうかを確認するため、心エコー検査。 |
11月29日(土) | |
11月30日(日) | 胸部X線写真撮影。 |
12月01日(月) 手術前日 |
太股の付け根から動脈血採血。 看護師から手術への行程説明を受ける。 脇下の剃毛、下半身シャワー、洗髪。 手術室の看護師との面談、手術室の説明。 麻酔科の医師との面談、麻酔の説明。 執刀医による手術の説明。7%の再発率と、肺の2カ所からブラを切除する可能性があることを承知すること。 19時以降絶食。21時以降絶飲。 |
12月02日(火) 手術当日 |
8:00浣腸、排便。 8:45点滴用針挿入。 12:25手術着に着替え、T字帯着用、肩への筋肉注射2本。 13:40手術室に移動。(手術室にはクリスマス音楽が流れていた) 推定14:30執刀(胸腔鏡下ブラ切除術) 16:20家族に対し切除後ブラを示して説明。 16:50病室に帰着 |
12月03日(水) | 05:50採血。 09:00清拭、尿管抜去。手術着から寝巻に着替え。 10:00胸部X線撮影。まだ頭がふらつくので車椅子で移動。 10:20手術後初めて水を呑む。うまい。 痛み止めの点滴は頭がボーっとする。 術後の発熱で体温37度。ノドがザラついている。 |
12月04日(木) | 14:34ドレーンパイプをクランプ。 胸腔内をドレーンを入れていないのと同じ状況に置き、肺がしぼまなければ、ドレーンを抜き退院となる。 |
12月05日(金) | 09:00胸部X線撮影。 14:30ドレーン抜去。 14:50胸部X線撮影。 |
12月06日(土) 退院 |
09:30胸部X線撮影。 11:00退院。 |
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12月16日(火) | 外科外来にて抜糸する予定であったが、傷口が十分に塞がっていなかったので、一部の糸を残しての抜糸となった。 |
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12月26日(金) | 抜糸しました。 |
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2004年3月19日(金) | 抜糸後約3ヶ月ということで、経過を確認してもらいました。 胸部X線撮影の結果では全く問題ないということでした。 |
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7月09日(金) | 術後半年の経過を診てもらいました。 胸部X線写真で特に問題がないので、(再発しない限り)もう来なくて良いと言われました。 とりあえず、これで一応の完治ということなのでしょう。 TK病院の皆さんお世話になりました、ありがとうございました。 |
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12月06日(月) | 退院からちょうど1年が経ちました。先週末の金曜日は年末の追い込みで朝まで徹夜になりましたが、気胸のことを考える事もなく過ごしました。今のところ気胸に関しては快調と言えるでしょう v(^-^)v |
今回の入院で撮った写真 気の弱い人は見ない方がいいと思います。 | ||
胸部X線写真−1 肺が潰れた状態 |
向かって左側の肺(右肺)が潰れています。肺がコブシぐらいの大きさに縮んでいます。 右側の胸腔は全体に血管か気管が写っていてモヤがかかったように白っぽく肺で満たされているのがわかりますが、左側の胸腔は肺で満たされていないので肋骨がスッキリ写っています。 |
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胸部X線写真−2 ドレーンが入った状態 |
向かって左側の胸腔(右肺)にドレーンを残置して脱気したため、肺が膨らんでいます。 左の胸腔内を左下から鎖骨の上までドレーンが伸びているのが分かります。 12月2日の手術後のドレーンのため目一杯上の方まで入っています。 写真−1と比べると肋骨がスッキリ写っていた部分が白っぽくなり、肺が膨らんだことがわかります。 |
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ドレーン | 胸に入っていたドレーンです。 20cm以上が胸の中に入っていたようです。写真の手前のチューブが体の中に入っていた部分です。 |
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切除したブラ クリック注意!! |
グロテスクなので、気の弱い人はクリックしないでください。 白い泡のようなものがブラです。トレーの直径は約7cmだそうです。 こんな必要のない組織「ブラ」が、いつの間にか出来てしまうとは嫌ですね。 |
今回の入院で感じたこと 素人の感想ですのでくれぐれも参考としてください |
胸腔鏡下ブラ切除術について インターネットに紹介された体験談を読んで、必ずしも、全ての人が最初の入院でブラ切除術を受けていないことに驚きました。 私は左肺の手術を受けたとき、自然に穴が塞がることは望めそうにない、今は内視鏡が発達しているので体に負担をかけない手術が可能であるということだけを考えていました。 胸を大きく切開しないで手術できるだけラッキーだと単純に思っていました。 今回、切り取られたブラを見て、こんなものが体の中にありながら、気胸にならないよう誤魔化しながら生活するのは落ち着かないというのが、正直な感想です。 そう言えば、職場の同僚の中に、気胸を発症したことはないが、「ジャイアント・ブラ切除術」という手術を受けた人がいました。 CT検査では相当程度詳しくブラの存在が確認できます。 今回のCT検査では、5年前に手術した左肺に目立ったブラの存在は見られませんでしたが、右肺には2カ所にブラの存在が確認され、内視鏡で確認して両方を切除してもらいました。 手術は嫌ですが、胸腔鏡下ブラ切除術を受けたことは最良の選択だったと考えています。 ただし、全身麻酔が可能な体質?であることが条件のようです。今回の手術に際して、心電図や心エコーを受けたのは全身麻酔に関するチェックだったと聞きました。 |
他の治療法について 気胸にはいくつかの治療法があることをインターネットで知りました。 もし、気胸になって、肺の破れた部位がブラであるのなら、そのブラは取り除かなければ再び気胸を発症するという覚悟がいるのではないでしょうか。 今回お世話になった病院の医師が、「この病院に駆け込んで正解だったですね。」と何度も言っていましたが、私もそう感じています。 その医師によると、胸部外科を持たない病院であれば、ドレーンによる脱気で長く粘り、脱気が収まったところで退院させられ、すぐに再発して入院し、同じドレーン脱気を繰り返させられる場合があるということでした。なんだか、まさにそんな感じの体験談がネットで紹介されていました。 若くて新陳代謝の旺盛な時期であれば、ドレーンによる脱気後、安静にしていれば穴が塞がることもあり得るのでしょうが、40才を越えてブラが破れて気胸になれば、ブラ切除はやむを得ないところではないでしょうか。 インターネットで見た治療法の「癒着薬」は、相当再発を繰り返す場合限定の治療法という感じですが・・・。 |
左肺に続いて右肺が気胸になったことについて このたび、右肺のブラが破れて右肺気胸になりましたが、左肺が気胸を発症したのではないため、いわゆる「再発」とは言わないのでしょう。 今回のCT検査で左肺にブラが無いことが確認できたので、左肺は安心でき、右肺はCTで確認された2カ所のブラを切除したので、当分再発はないだろうと自分に言い聞かせております。 |
入院中の生活について 入院生活は今回で2度目である。 5年前の入院10日間には一度も髪を洗わなかったが、今回は2週間に4回も洗髪しました。 前回は、ベッドでいきなりドレーンを挿入されたショックで、パイプに繋がれたまま髪を洗うなど想像もつかないと言うよりも、傷口からバイ菌が入ったり、ドレーンが抜け落ちたりするのではないかと怖がっていました。 今回は、ドレーンに繋がれての生活がどんなものかを一通り知っていたので、頭の痒みを我慢せず髪を洗おうと決めていました。さらに、今回は看護師さんに恵まれたようで、看護師さんのほうから「髪を洗いましょうか?」と言って下さった。素直に好意に甘えてみたところ、流しに頭を差し出しておけば、全て看護師さんがやってくれた。非常に快適でありました、感謝感謝。 ドレーンに繋がれての生活は、痛みさえ克服できれば、時間をもてあますことが分かっていたので、パソコンを持ち込んで趣味の写真整理などに勤しみました。今回は、我慢ではなく、積極的な痛み止めの服用で、痛みを”克服”しました。手術前は1日に2〜3回ロキソニン1錠を服用しました。 |
痛みについて 今回の入院で色々な処置を受けたので、それぞれの痛みの具合についてメモしてみます。 |
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トロッカー挿入術 | |
入院当日にベッドで行われる「手術」です。 右脇を上にしてベッドに横になり、肋骨を上から下からと数えられ、切開予定部位を消毒され、真ん中に穴のあいた紙をかぶせられる。肋骨と肋骨の間が広がって作業しやすいように、右腕は頭の上に伸ばしベッドの端をつかむようにしていた。 医師が「チクッとしますよ」と局部麻酔の注射が始まる。2〜3カ所刺されているのかも知れないが、1回目と2回目?がチクッと感じるくらい。 その後、メスが入っているのだろうが痛みはない。丁寧にメスを入れているからだろうと思うが、「筋肉がわりとありますね。ここが胸膜だな。」とか言う声が聞こえることが、異次元の経験でしょうか。 トロッカーを押し込み始める。「もうちょっと上向きにいけるかな。」とか言う声が聞こえているうちに、鎖骨の下あたりに疼痛が来て、思わず「痛い!」と口にする。鋭い痛みではないが、細い棒で骨をグリグリするような嫌な感じである。 トロッカーを抜き、ドレーンを残置したあと、傷口を縫合する。痛くはないが、縫合の際に、糸で体表の皮膚が引っ張られる感じが、なんとも嫌な感じである。 |
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ドレーンによる吸引 | |
局部麻酔が切れて、傷口に痛みが戻ってくる。ベッドに横になったり、ベッドを立ててもたれたりすると、背中のほうに痛みがある。我慢すれば我慢できそうな痛みであるが、今回は我慢しないことにした。1日2〜3回痛み止めを処方してもらった。経口錠剤で「ロキソニン60mg」と書いてあった。 | |
CT検査 | |
胴体の輪切り写真を撮ってくれる。体を動かしたり、両腕を頭の上に持って行くことさえ出来れば、何ともない検査である。本来なら無くても良いブラがはっきり写るため、ナットクしてしまう。 | |
心電図 | |
ベッドに仰向けに寝て、胸と手首と足首に電極を付けて、数秒間じっとしていれば終わります。 ベッドを乗り移ったりするときにドレーンパイプがもつれたりしないように気を遣うが、体を動かすことが出来れば、何ともない検査。 |
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胸腔造影 | |
あらかじめ、ドレーンに薬液注入用の細いチューブが仕込んであるようで、そのチューブから造影剤を注入する。 ドレーンの目的である胸腔内からの「排出」とは逆の、胸腔内への「注入」をするというので痛そうであるが、注入それ自体は痛くはなかった。 検査は、胃ガン検診で使われるような、傾き変幻自在のベッドを持ったレントゲン撮影機で行われる。頭が足より低くなるようにベッドを傾けた状態で医師が造影剤を注入する。 造影剤注入後、「ゴホンと咳をして」と言われる。咳をすると、医師はすぐ横でリアルタイムのモニターを覗いており、「ほらほら出た出た!」と嬉しそうである。ブラから泡が出る様子が見えているらしい。右脇を上にした状態で咳をしたりして、おしまいである。頭のほうへ滑り落ちないように、ベッド横のバーを掴んでいるのにも限界がある。 これも、体を動かすことが出来れば、何でもない検査でした。 |
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心エコー検査 | |
ベッドに左側を下にして横向きに寝て、左胸にゼリーをべったりと塗った上から超音波発信器をグリグリ押しつけられる検査です。検査技師がモニターを見ながら、患者の背中側に腰掛けて、患者の胴体を抱えるようにして超音波発信器を押しつけてきます。これも、ドレーンパイプがもつれないよう気を遣いますが、体を動かすことが出来れば、何ともない検査。左肺の気胸の場合は、ちょっと痛いことになるのかも知れません。 | |
動脈血の採血 | |
私の場合、太股の付け根から医師によって採血された。確かに、チクッと痛いが、我慢できる痛みである。 ベッドに横になって、パンツの横から太股の付け根をまさぐられる時の感触が異次元ではある。 採血後、ちょっと厚めの脱脂綿をテープで留められ、5分以上強く押さえているように言われる。 |
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筋肉注射 | |
手術直前、看護師から2本打たれた。 私の場合、針を刺すときよりも、薬液を注入しているときに肩に鈍痛があった。 針を刺したときに「指先がシビレませんか」と聞かれる。シビレると良くないそうだ。 |
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手術後の胸部X線撮影 | |
私の場合、麻酔から覚醒後16時間程度で、尿管を抜き、車椅子に乗ってX線撮影室まで往復した。 車椅子の上で、まだ頭がふらついていて気分が悪いのを一生懸命こらえていた。 X線撮影自体が痛いとか辛いというものではありません。 |
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手術後の状態 | |
ノドの奥がざらつく。37度台の微熱がある。点滴で痛み止めをしてもらうと、頭がボーッとする。 手術の翌日は、お腹と肩のあたりが筋肉疲労のような感じがして、力が入らなかった。 |
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ドレーン抜去 | |
局部麻酔のあと、息を吸って吐いたところで息を止める。看護師がドレーンを引き抜き、医師が縫合する。 痛くはないが、縫合の際に、糸で体表の皮膚が引っ張られる感じが、なんとも嫌な感じである。 |
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長引く胸の不快感 | |
退院してから胸の前面の下部に不快感が残る。手術の傷口とは関係なさそうなところにジワッと痛みが走る。 1998年の1回目の手術の後にも左の胸に不快感が長く残存していた。その時の医師の説明によると、内視鏡手術の際に肋間神経を傷つけているので痛みが出るとのことであった。当時は、また気胸になったのではないかとか、肺の縫合がうまくいっていないのではないか、などと心配したものである。手術後3年くらいを経たころからそんな痛みも忘れていたところであるが、今回改めて右胸の前面に不快感が起こっている(手術後2週間経った時点)。術後半年経過した2004年7月では不快感は無くなっています。v(^o^) どんな痛みかを表現するのは難しい。いわゆる打撲のあとの打ち身の痛みに近いような感じである。ズキンズキンとくる痛みではなく、衣服が触れると、触れたカ所からジワッと痛みというか不快なシビレのようなものが広がるのである。 |