<巨樹・古木> 青森県津軽地方 2006年 9月23日撮影
弘前周辺の巨樹・古木を見る会があったので参加してきました。
樹木医の斎藤嘉次雄氏から興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。
現地で現物を前にして専門家のお話を聞くと、一つひとつのお話が心にしみ込みます。
百沢(ひゃくざわ)街道の松並木(県天然記念物) : 弘前市新法師字向野
松には肥料が不要。
共生菌のアミダケと松は養分をやりとりしているが、落葉が多いと共生菌が少なくなり松にとって良くない。
よく松の根元に落ち葉を集めたり土を盛り上げたりしている人がいるが、松には迷惑。
マツタケはよく手入れされた松林に生えると言うとおり。
岩木山神社の五本杉(市天然記念物) : 弘前市百沢(岩木山神社) 樹齢300年以上、樹高35m、幹周618cm
一株から五本の幹が立っていると材としては無価値。
木材としての利用価値が少ないものが長く残るという例。
杉に白いチョークタケが付くと成長が止まる。
高倉神社の大イチョウ(町天然記念物) : 鰺ヶ沢町日照田 樹齢300年以上、樹高22m、幹周800cm
枝から円錐形に垂れ下がった突起は、地面に達するとそのまま根を生じ、幹と一体化する。
乳房のように見えるが、雄株に多く見られる。
栄養分が余ると突起を生じるので、雌株は毎年実を成らせ、栄養分が余ることがないので垂れることが少ない。
イチョウは病気や害虫が付きにくいため、巨樹古木になる。東日本ではイチョウ、西日本ではクスノキに病害虫が付きにくい。
関の甕杉(県天然記念物) : 深浦町関字栃沢 樹齢1000年、樹高35m、幹周703cm
木の実は鳥の消化管を経ると発芽しやすくなる。
この木の枝の上には鳥の糞から発芽した広葉樹が乗っている。
垂乳(たらちね)の公孫樹(国天然記念物) : 深浦町北金ヶ沢字塩見形 樹齢1000年、樹高40m、幹周1945cm
イチョウはほとんど病気が無く虫も付かないため、寿司屋のカウンターや俎板として使われる。
イチョウの雌雄は葉では分からない、実が成って初めて雌株と分かる。
銀杏の実で雌株は100個に1個ぐらいの割合で雌がある。三つに割れていることで判別できる。
尊殿堂の三本藤(市天然記念物) : つがる市森田上相野若鷺 樹齢425年、樹高10m、幹周200cm
殿様は馬のムチに藤を使っていた。湿地を馬駆けていて、力尽きて馬が死んだ場所にムチを突き立てた。そのムチから芽生えた藤だという言い伝えがある。
日本最古のリンゴの木(県天然記念物) : つがる市柏桑野木田字千年 樹齢128年、樹高7.4m、幹周300cm
古坂氏個人の樹園地にある。今年で128年目。
フランス原産と言われる「紅絞(べにしぼり)」という品種。毎年40箱収穫する。
一般にリンゴは4〜50年で接ぎ木などして品種を切り替えていくが、この木は接ぎ木をされていない希有な存在。
トドロッポ(県天然記念物) : 鶴田町妙堂崎字掛元 樹齢350年、樹高30m、幹周600cm
アイヌ語でトドマツを「トドロッポ」と言うが、この木はモミノキ。
モミノキは長生きする木ではない。
樹齢350年とされているので、これ以上の延命は困難。
シナノキ : 鶴田町野木(浄林寺)
シナノキとしてはたぶん日本一。
八甲田山の萱野高原に多く自生。
アイヌはこの木の繊維を利用してどてらのような服を作る。
熊の彫り物の材。



愛宕神社のハルニレ : 板柳町石野
ヤチダモと並ぶ湿地生の樹。
五所川原市の市木はハルニレ。五所川原一帯は湿地であったが、水田開発で湿地が無くなった。
ハルニレの学名はELMという。五所川原ではELM(エルム)の街と呼ぶ新都市作りが進められている。
サイカチの木 : 板柳町石野
四代信政公が植えた木。
古来薬草とされる。実は石けん代わりになる。
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